負担限度額認定を申請するとき、通帳の写しを出すよう求められます。ここで手が止まる人がいます。
先に事実を書きます。申請書には、市区町村が金融機関に照会することへの同意欄があります。署名して出す以上、市区町村は銀行に問い合わせることができます。実際に照会は行われています。
この記事では、何をどこまで見られるのか、いくらまでなら通るのかを整理します。
預貯金の基準額(所得段階ごと)
市区町村が何をどうやって確認しているか
申告しなかった場合に何が起きるか
娘通帳を全部出すように言われて…どこまで見られるのか不安で…



見られる範囲ははっきり決まっています!先に基準額を知っておくと落ち着きますよ
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預貯金の基準額
所得段階ごとに、預貯金の上限が決まっています。ここを超えると認定は受けられません。
| 所得段階 | 単身 | 夫婦 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
| 第2段階 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
| 第3段階① | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
| 第3段階② | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
段階が上がるほど基準額が厳しくなります。順序が逆に見えますが、第1段階は所得がいちばん低い区分なので、こういう並びになります。
なお65歳未満の方(第2号被保険者)は、段階にかかわらず単身1,000万円・夫婦2,000万円です。
何が預貯金に含まれるか?
| 含まれるもの | 含まれないもの |
|---|---|
| 普通預金・定期預金 | 生命保険 |
| 有価証券(株式・国債・投資信託) | 自動車 |
| 金・銀などの貴金属で時価が把握できるもの | 貴金属以外の高価な物品 |
| タンス預金(現金) | 不動産 |
| 投資信託 | 負債は差し引く |
不動産は含まれません。持ち家があっても、預貯金が基準額以下なら認定を受けられます。ここを勘違いして申請しない人がいます。
借入金がある場合は、預貯金から差し引いて判定します。借用証書の写しを出してください。
市区町村は預貯金の何を見ているか?
提出するのは通帳の写しです。ただし提出したものだけを見ているわけではありません。
- 申請書に金融機関への照会の同意欄があり、署名して提出します
- 市区町村は、その同意にもとづいて銀行に残高照会をかけられます
- 保険者は課税情報も持っているので、所得の申告と食い違えば分かります
つまり出さなかった口座があっても、照会で把握される仕組みになっています。
預貯金を申告しなかった場合
介護保険法に定めがあります。事実と違う申告で認定を受けた場合、受けた分を返還したうえで、その額の最大2倍にあたる加算金を課されることがあります。
たとえば1年間で60万円の軽減を受けていた場合、返還60万円に加えて最大120万円、合わせて180万円という計算になり得ます。



そんなに…。正直に出すしかないですね…



そのほうが確実です!基準を超えていても、別に使える制度がありますよ
基準を超えていても、打つ手はあります
預貯金が基準を超えていて認定が受けられない場合でも、次の制度は使えます。
介護費の月額に上限をかける制度です。預貯金の要件はありません。所得に応じて月15,000円から140,100円で頭打ちになります。
1年分の医療費と介護費を合わせて判定します。入退院をくり返している場合はこちらが効きます。
施設の費用のうち一部が対象になる場合があります。施設の種類によって扱いが違います。
社会福祉法人が運営する施設で、一定の条件を満たす人の負担を軽くする制度です。市区町村に確認してください。
認定が受けられないことと、費用を抑える手がないことは別です。
預貯金の名義を移せば通るか?
親の預金を子の口座に移してから申請すれば通るのではないか、という質問があります。
これは勧められません。まず贈与とみなされれば贈与税の対象になります。そして申請時点だけでなく、その前後の資金の動きも確認の対象になります。不自然な移動があれば説明を求められます。
さらに、親のお金を子が管理していた場合、後に相続で兄弟間の問題になります。介護の費用は親のお金から出すのが原則です。ここを崩すと、あとで説明のつかないお金が残ります。
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この記事のよくある質問
申請書に金融機関への照会に同意する欄があり、市区町村は銀行に残高照会をかけられます。提出しなかった口座も把握される仕組みです。
単身で第1段階1,000万円、第2段階650万円、第3段階①550万円、第3段階②500万円が上限です。夫婦の場合はそれぞれ1,000万円多くなります。
受けられます。不動産は預貯金に含まれません。
受けた軽減分の返還に加えて、その額の最大2倍の加算金を課されることがあります。
あります。高額介護サービス費には預貯金の要件がありません。高額医療・高額介護合算療養費制度や、社会福祉法人による利用者負担軽減も確認してください。
出典:介護保険法、特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)の要件および基準費用額・負担限度額、令和8年度介護報酬改定の概要(厚生労働省老健局)を加工して作成。個別の判定は市区町村の窓口にご確認ください。







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