親の施設費用を、兄弟でどう分けるか。ここで関係が壊れる家庭は珍しくありません。
先に前提を書きます。介護の費用は、まず親本人のお金から出すのが原則です。子が負担するのは、それで足りないときの話です。ここを飛ばして「誰がいくら出すか」の議論を始めると、必ず揉めます。
そして法律上の話をすると、兄弟には親を扶養する義務がありますが、金額の決まりはありません。民法が定めているのは義務があることだけで、いくら払うかは当事者が決めます。
費用を出す順番(親のお金が先)
兄弟で決めておく4つのこと
立て替えた費用を相続で調整できるか
息子兄が「同居している弟が見るのが当然だ」と言うんです。でも費用は誰も出してくれなくて…



お金と手間は別々に数えたほうがいいですね。まず親御さんの資産から確認しましょう
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介護費用は親のお金から出すのが先です
年金額は年金額改定通知書で分かります。預貯金と、生命保険や不動産も含めて全体を把握します。
負担限度額認定、高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算療養費制度。使えるものを漏らさないだけで月に数万円変わります。
月の不足額を出します。ここで初めて子の負担の話になります。
均等に分けるのか、収入に応じるのか、手間との組み合わせで考えるのか。ここは後述します。
2番目を飛ばしている家庭がとても多いです。負担限度額認定を申請していないだけで、月に数万円多く払っていることがあります。
兄弟で決めておく4つ
分担でもめる原因は、金額そのものより「決め方が決まっていないこと」です。次の4つを先に決めてください。
| 決めること | ポイント |
|---|---|
| 誰が親の口座を管理するか | 1人に任せる。ただし記録を残す |
| 何を共通の費用とするか | 施設費、医療費、おむつ代など。線引きを決める |
| 不足分をどう分けるか | 均等/収入割/手間との組み合わせ |
| 記録をどう共有するか | 月に1回、支出の一覧を全員に送る |
いちばん効くのは4つ目です。お金の流れが見えないことが不信を生みます。通帳のコピーでも、表計算のファイルでも構いません。全員が同じ数字を見ている状態を作ってください。
「手間」をどう数えるか?
同居している人、近くに住んでいる人は、通院の付き添いや面会、施設との連絡を担います。この手間をお金に換算するかどうかで、話がこじれます。
決まった正解はありませんが、次のような分け方をしている家庭があります。
- 費用は均等に分け、手間を担う人は費用の負担を減らす
- 費用は収入に応じて分け、手間は別に評価しない
- 費用は親のお金から出し、不足分だけを均等に分ける
どれを選んでもいいのですが、決めた内容を書き残しておくことが大事です。口約束は数年後に食い違います。



書面にするなんて、兄弟なのに大げさな気がして…



介護は何年も続きます。記憶は必ずずれますから、簡単なメモでも残しておくほうが関係を守れますよ
立て替えた費用は、相続のときに戻ってくるか?
長く介護をしていると、「自分だけ多く払った分を相続で調整したい」という話になります。
法律には寄与分という仕組みがあります。相続人が親の財産の維持や増加に特別の貢献をした場合、その分を相続で多く受け取れるというものです。
ただし現実には認められにくいのが実情です。理由は3つあります。
- 通常の扶養の範囲とみなされやすい
- 貢献を証明する記録が残っていないことが多い
- 他の相続人の同意が得られないと調停や審判になる
記録が残っていなければ、まず主張が通りません。立て替えた費用は、領収書と、いつ何にいくら払ったかの記録を残してください。親の口座から出したのか自分の財布から出したのかも区別しておく必要があります。
2019年から特別寄与料という制度も始まり、相続人でない親族(子の配偶者など)も金銭を請求できるようになりました。ただし請求には期限があり、条件も厳しいものです。
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この記事のよくある質問
まず親本人のお金から出すのが原則です。年金と預貯金で足りない分を、子が負担するかどうかという順番になります。
決まりはありません。民法が定めているのは扶養義務があることだけで、金額の配分は当事者が決めます。収入に応じる、手間と組み合わせるなど、家庭ごとに違います。
話し合いで決まらない場合、家庭裁判所の扶養調停を申し立てることができます。ただし関係が壊れるため、まずは支出を全員に共有するところから始めるのが現実的です。
寄与分という仕組みがありますが、通常の扶養の範囲とみなされやすく、認められにくいのが実情です。領収書と支出の記録を残しておくことが前提になります。
本人の意思が確認できるうちは問題ありませんが、認知症が進むと口座が凍結されることがあります。成年後見や家族信託の検討が必要になる場合があります。
出典:民法(扶養義務・寄与分・特別の寄与)、令和8年度介護報酬改定の概要(厚生労働省老健局)、サービスにかかる利用料(介護サービス情報公表システム)を加工して作成。個別の相続や扶養の判断については、弁護士や司法書士にご相談ください。


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