認知症の親が老人ホームに入りたがらない。説得の順番

老人ホームに入りたがらない母に寄り添う娘のイラスト

施設は見つかった。費用も何とかなる。それなのに、本人が「行かない」と言う。ここで止まっている家庭がたくさんあります。

先に書いておきます。正面から説得しても、たいていうまくいきません。認知症がある場合はなおさらです。理由を説明して納得してもらう、という進め方が成り立たないことがあります。

この記事では、順番を変える方法を書きます。

この記事でわかること

説得がうまくいかない理由

順番を変えるとはどういうことか

やってはいけない伝え方

母に施設の話をすると「私を捨てる気か」と言われてしまって…

案内人

その言葉の裏にあるのは施設への拒否ではないことが多いんです!順番を変えてみましょう

目次

どこに相談すればいいか分からないときは、まず資料請求してください。

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認知症の親の説得がうまくいかない理由

本人が拒むとき、断っている中身は「施設」ではないことがほとんどです。

本人が言うことその下にあるもの
家がいい知らない場所への不安。今の環境が唯一の手がかり
まだ自分でできるできなくなっている自覚がある、または無い
お金がもったいない子に負担をかけることへの負い目
私を捨てる気か見捨てられることへの恐れ

どれも施設の説明では解けません。設備がきれいだと伝えても、費用を説明しても、ここには届きません。

認知症がある場合、直前の会話を覚えていないことがあります。同じ説明を何度もくり返すことになり、そのたびに「知らない話をされている」という状態が生まれます。説明を重ねるほど不安が強くなることすらあります。

老人ホームの話をする順番を変える

説得を先にせず、環境のほうから先に動かします。

STEP
まず在宅のサービスから入る

デイサービスやショートステイを先に使います。家以外の場所で過ごす経験を作るのが目的です。ここを飛ばして施設の話をすると、落差が大きすぎます。

STEP
ショートステイの日数を少しずつ延ばす

1泊から始めて、慣れたら2泊、3泊と延ばします。本人にとって「知っている場所」を増やしていきます。

STEP
本人が信頼している人から話してもらう

子の言うことは聞かなくても、かかりつけ医やケアマネジャーの言うことは聞く、ということがよくあります。第三者から伝えてもらうほうが通ります。

STEP
入居ではなく「しばらく」と伝える

永久に住む場所として説明すると拒まれます。体を治すため、しばらく休むため、という伝え方をしている家庭が多くあります。

2番目までで数か月かかります。だから施設探しは早く始める必要があります。本人が拒んでいる段階から動き始めて、ちょうど間に合うくらいです。

認知症の親にやってはいけない伝え方

  • 家族が全員そろって説得する。囲まれると拒否が強くなります
  • 「もう限界だ」と介護の大変さを訴える。負い目が増えて拒否が強くなります
  • 荷物を先に運び出す。帰る場所が無くなったと感じさせます
  • 嘘をついて連れて行き、そのまま置いて帰る。信頼が切れて、施設でも落ち着きません

最後の点について補足します。入居の日に家族が黙って帰ると、その後しばらく混乱が続くことが多いといわれます。何時に来るか、いつ会えるかを具体的に伝えて帰ってください。

嘘をついてでも入れるしかないのかと思っていました…

案内人

短期的にはうまくいっても、後で必ず響きます!「しばらく」と伝えるのと嘘は別ですよ

ケアマネジャーと医師を巻き込む

家族だけで抱えないでください。使える相手が2人います。

ケアマネジャー

本人と定期的に会っていて、状態の変化を見ています。施設の話をどのタイミングで出すか、誰から出すかを一緒に決められます。

かかりつけ医

本人が最も言うことを聞く相手であることが多い。医師から「今は体を診てもらえる場所にいたほうがいい」と言われると、通ることがあります。

まだケアマネジャーがついていない場合は、地域包括支援センターに相談してください。市区町村ごとに置かれていて、無料です。

入りたがらないが、待てない場合もあります

きれいごとを書きましたが、待てないことがあります。介護している人が倒れそう、火の始末が危ない、外に出て戻れなくなる。こうした状態では、本人の同意を待つ余裕がありません。

そのときは、本人の同意より安全を優先する判断もあります。後ろめたく感じる方が多いのですが、介護する側が倒れれば共倒れになります。

判断に迷うときは、ケアマネジャーと地域包括支援センターに、いま起きていることをそのまま伝えてください。緊急性が高いと判断されれば、特養の優先度にも反映されます。

老人ホームの候補だけは先に決めておく

本人の気持ちが変わるまで待つとしても、どこに入るかは先に決めておいてください。順番が来たときや、状態が急に変わったときに、選ぶ時間はありません。

お住まいの市区町村にどんな施設が何件あるかは、こちらから確認できます。

どこに相談すればいいか分からないときは、まず資料請求してください。

シニアのあんしん相談室は、全国2,800以上の高齢者施設を無料で紹介しているサービスです。電話で状況を伝えると、条件に合う施設を探して案内してもらえます。資料請求と見学の予約もまとめて頼めます。

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認知症の親が入りたがらないとき、よくある質問

認知症の親が老人ホームに入りたがらないときはどうすればいいですか?

説得を先にせず、デイサービスやショートステイから始めて、家以外で過ごす経験を作ってください。日数を少しずつ延ばし、本人が信頼している医師やケアマネジャーから話してもらう方法が取られています。

嘘をついて連れて行ってもいいですか?

勧められません。信頼が切れると施設でも落ち着かなくなります。永久に住むと説明せず「しばらく」と伝えるのと、嘘をつくのは別です。

誰に相談すればいいですか?

ケアマネジャーと、まだついていなければ地域包括支援センターです。市区町村ごとに置かれていて相談は無料です。かかりつけ医も有効です。

本人の同意がないと入居できませんか?

契約は本人か、代理権を持つ人が行います。判断能力が落ちている場合は成年後見制度を使う場合があります。安全が保てない状態では、同意を待たずに進める判断もあります。

入居の日はどう別れればいいですか?

黙って帰らないでください。次にいつ来るかを具体的に伝えてから帰ると、その後が落ち着きやすくなります。

出典:認知症施策推進大綱(厚生労働省)、認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省)、介護保険法(地域包括支援センター)を加工して作成

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この記事を書いた人

50代になり、親の介護が必要になったことをきっかけに、介護施設について本格的に調べ始めました。「まだ施設は早いのではないか」「費用はいくらかかるのか」「本人が嫌がったらどうすればいいのか」など、調べれば調べるほど分からないことばかりでした。仕事や自分の生活を続けながら親のことを考える大変さを経験したからこそ、同じように悩むご家族が少しでも安心して施設探しを進められるよう、介護施設や老人ホームに関する情報を分かりやすく発信しています。

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